名古屋市立大学大学院経済学研究科准教授。Asian Finance AssociationのBoard of Directors並びに日米教育交流振興財団の評議員などを務める。

【名古屋市立大学大学院 経済学研究科 坂和秀晃准教授】経済学に関する学びをインタビュー

名古屋市立大学大学院 経済学研究科の坂和秀晃准教授に、専攻とされている経済学に関するインタビューを行いました。経済学に関して学びを深めたいと考えている方や、坂和秀晃准教授と同じく経済学を専攻としていきたい学生さんは、ぜひ最後までご覧ください。

坂和秀晃准教授のプロフィール

東京大学経済学部卒業後、大阪大学大学院経済学研究科博士後期課程を修了。2009年名古屋市立大学大学院経済学研究科・講師、2011~2012年テンプル大学Fox School of Business 客員研究員、2017~2018年コロンビア大学日本経済経営研究所にフルブライト客員研究員を経験して、現在は、名古屋市立大学大学院経済学研究科准教授。Asian Finance AssociationのBoard of Directors並びに日米教育交流振興財団の評議員などを務める。

1. ご経歴と専攻分野

大阪大学社会経済研究所で特任研究員として、研究者の生活を始めました。その後、名古屋市立大学大学院経済学研究科で講師を経て准教授として、主に、「コーポレート・ガバナンス」の研究・教育活動を行っております。教育活動としては、大学院では、Applied Corporate Financeを、学部では、ファイナンス関連の科目を担当しています。

これまでに、2011年-2012年に、テンプル大学Fox School of Businessに客員研究員(Visiting Research Scholar)として、在籍して、Sudipta Basu教授の下で、研究活動を行いました。その時の研究活動の成果として、「日本企業の役員報酬におけるインセンティブ構造が、どのように決まるか?」という論文を執筆して、Corporate Governance: An International Reviewという学術雑誌に公刊しました。また、2017―2018年には、フルブライト研究員プログラムを使用して、コロンビア大学の日本経済経営研究所に留学して、研究活動を行いました。

2017年12月コロンビア大学の前にて

このような在外研究の経験からも、コーポレート・ガバナンスに関する実証分析を幅広く行っています。従来は、メインバンクや外国人投資家が、日本のコーポレート・ガバナンスに与える影響を中心に研究してきましたが、現在は、コーポレート・ガバナンス改革による変化について、「女性役員」・「ESG」活動の観点からの研究も始めています。また、コロナ渦が、日本の株式市場に与える影響が大きいことから、そのような観点からも研究活動を行っています。

2023年のWorld Finance Conference(Norwayで開催)時の「コロナ渦」の論文を報告した時の討論を行ったSearat Ali先生(University of Wollongong)との写真

2. 専攻分野である経済学を選んだきっかけ

学部では、2000年代初頭に日本経済に「銀行の不良債権問題」が与える影響が大きかった時代であったこともあり、「不良債権処理をどう行うか?」、「日本の金融システムにおいて、大きな役割を果たしてきた銀行は今後どうなるか?」といった観点からの「金融・ファイナンス」関連の学習を行ってきました。

大学院では、「伝統的な日本企業における銀行による融資先企業への監視(モニタリング)を中心としたコーポレート・ガバナンスの仕組みが、日本企業にどのような影響を与えるか?」、「海外投資家の増加などにより変わりつつある日本企業のコーポレート・ガバナンスはどのように日本企業に影響を与えるか?」についての研究活動を行ってきました。加えて、日本の証券市場の仕組みが、取引システムの高速化など大きく変わりつつある中、証券市場のミクロ的構造を分析するファイナンスの応用分野であるマーケット・マイクロストラクチャーについてのデータを用いた実証研究についても研究を進めました。

3. 経済学の主な実績

専攻分野の一つである「マーケット・マイクロストラクチャー」については、「金融自由化は日本の証券市場をどう変えたか?:市場流動性とマーケット・マイクロストラクチャー分析」という書籍として、ミネルヴァ書房でまとめて、2016年に出版しております。

コーポレート・ガバナンス分野の主な実績としては、「日本企業の会計不正」に注目した以下の論文があります。
Sakawa, H., and Watanabe, N., (2022). “Accounting Frauds and Main Bank and Main-Bank Monitoring in Japanese Corporations” Journal of Business Ethics, Vol. 180, 605-621.
(URL): https://link.springer.com/article/10.1007/s10551-021-04888-z

あるいは、近年のコロナ渦の分析としては、「ダイヤモンドプリンセス号の事件が、船舶業界の株価にどのような影響を与えたか?」という観点を分析した以下の論文があります。

Sakawa, H., and Watanabe, N., (2023). “ The impact of the Covid-19 ourbreak on Japanese shipping industry: An event study approach”. Transport Policy, Vol. 130, 130-140.
(URL): https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0967070X22003067?via%3Dihub

ご関心のある方がいれば、是非書籍を購入して頂ければ幸いです。また、上記の英文論文は、オープン・アクセスになっているので、フリーでダウンロードできるので、もしご関心があれば、目を通して頂ければ幸いです。

4. 経済学から日々の生活に活かせること

専攻分野から日々の生活に生かせることとしては、国内外のビジネス誌(日本経済新聞や海外のWall Street Journal)などを読む際に、「コーポレート・ガバナンス」などの専門的な部分の知識が生かせることでしょうか。

日本及び海外で、「コーポレート・ガバナンス」を巡る多くの改革が行われている状況が、20年位続いているので、そのような「ビジネス記事」について、抵抗感なく読解できるという意味では、専門知識は役立つと思います。勿論、「ビジネス記事」なので、簡単に必要な概念などの説明はされているのですが、やはり背景となる知識があると、読みやすいということは大きいと思います。

5. 経済学に関心のある方へのアドバイス

私の専攻分野である「コーポレート・ガバナンス」あるいは「ファイナンスの分析」は、ミクロ経済学の応用分野になります。その意味では、やはり「ミクロ経済学」についての基礎知識を習得することが重要になります。加えて、近年は、様々な「データ」を用いた検証を行われることが多いため、「統計学」・「計量経済学」の知識なども必要になります。

「経済学」・「経営学」に関連する様々な応用分野での物事を分析するためには、「ミクロ経済学」の理論の知識や「統計学」、「計量経済学」の手法などの基本的な理解が必要になります。そのような「理論」あるいは「データ分析」の為の学習は、大変ですが、興味のある応用的な物事を分析するためには必ず必要になるので、是非ともそのような知識を習得するように努力することが大切かと思います。

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