福岡大学 商学部の掛下達郎教授に、専攻とされている経済学を中心にインタビューを行いました。経済学に関して学びを深めたいと考えている方や、掛下達郎教授と同じ学問を専攻としていきたい学生さんは、ぜひ最後までご覧ください。
掛下達郎教授のプロフィール
福岡大学商学部教授、証券経済学会代表理事、日本金融学会理事、公益財団法人 日本証券経済研究所客員研究員、博士(経済学)
1.ご経歴と専攻分野
・九州大学大学院経済学研究科博士後期課程修了後、米国ノートルダム大学経済学部訪問研究員やマサチューセッツ大学経済学部訪問研究員としてアメリカで学ぶ機会を得ることができました。
・帰国後、東京大学教養学部で「政治経済」の講義を担当し、日本証券経済研究所の日米資本市場研究会メンバーや資本市場・企業統治研究会(大阪)メンバーになることができました。
・その一方で、JSPS科学研究費(研究代表者)の調査でロンドン、ニューヨーク、ワシントンD.C.、シカゴ、香港、上海、シンガポールの金融当局や金融機関などで7回ヒアリングをしてきました。
・専攻分野はアメリカの金融システムで、最近は巨大テック企業GAFAの銀行化・金融機関化や欧州における次世代船舶へのグリーン・ファイナンスなどにも興味を持っています。
2.経済学を選んだきっかけ
・高校生の1982年にアメリカ、テキサス州でホームステイと高校体験をして、アメリカに興味を持ち始めました。
・大学で経済学を学び、バブルの頃だったので金融に興味を持ち、大学院に進学しました。
・最近は、私たちの身近で起こっているGAFAの中のアマゾンの銀行化やアップルの金融機関化を研究したり、次世代船舶へのグリーン・ファイナンスと信用保証を調べたりしています。
3.経済学の主な実績
『アメリカ大手銀行グループの業務展開:OTDモデルの形成過程を中心に』日本経済評論社,2016年(公益財団法人 日本証券奨学財団 2015年度研究出版助成)http://www.nikkeihyo.co.jp/books/view/2419
「現代の金融業」川波洋一・上川孝夫編『現代金融論(新版)』第7章,有斐閣ブックス,2016年https://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641184336
「サブプライム危機前後における大手金融機関:その業務展開と収益構造」 渋谷博史監修・シリーズ「アメリカ・モデル経済社会」第10巻,渋谷博史編『アメリカ・モデルの企業と金融:グローバル化とITとウォール街』第5章,昭和堂,2011年http://www.showado-kyoto.jp/book/b96932.html
「金融DXとリテール金融ビジネスの将来像:アメリカの巨大テック企業の事例」 一般財団法人 ゆうちょ財団『季刊 個人金融』春号,2022年https://www.yu-cho-f.jp/wp-content/uploads/2022spring_articles03.pdf
「欧州におけるグリーン・シップファイナンス:グローバル造船への融資と信用保証」 公益財団法人 日本証券経済研究所『証券経済研究』第124号,2023年https://www.jsri.or.jp/publish/research/pdf/124/124_04.pdf
「米国のリテール金融:クレジットカードとアセットバック証券」 金融庁金融研究研修センター,第3回外国金融制度研究ワークショップ,≪米国リテール金融ワークショップ≫,2004年
“The Structural Analysis of the Managed Currency System: The Case of the Postwar U.S. Banking System,” Political Economy Workshop, University of Massachusetts, Amherst, U.S.A., 2000
4.経済学から日々の生活に活かせること
・人類の英知の結集である、コンピューターに端を発した技術革新(イノベーション)である〇〇ペイ(PayPayや楽天ペイなど)が、私たちの生活を便利にして、最終的には豊かさの指標である経済成長につながっています。
・アメリカ発の〇〇ペイは、ICT(情報通信技術)などの科学技術(テクノロジー)を駆使したビジネスを展開している、テック企業が生み出してきました。技術革新は、テクノロジーが優れているだけではなく、私たちの社会や人々を変える力を持っています。
・アメリカで始まった技術革新(イノベーション)〇〇ペイは、日本などの先進国に導入されただけでなく、人口世界一の新興国であった中国や現在、人口世界一の新興国インドの貧困を解消し、さらには経済成長をもたらしています。
・これは世界の貧困を解消する一助となり、最先端の科学技術(テクノロジー)が注目されがちな技術革新の恩恵を受けられる人々を格段に拡げています。これは近年注目されるSDGs(持続可能な開発目標)にもつながります。https://yumenavi.info/portal.aspx?CLGAKOCD=010820&p=s010820088
5.経済学に関心のある方へのアドバイス
・科学技術(テクノロジー)の進歩とその結晶である、アメリカの技術革新(イノベーション)〇〇ペイは、アメリカだけではなく世界の人々の生活を豊かにしています。
・理系の人々が生み出す技術革新が、文系でよく取り上げられる社会を良くして、人々を幸せしています。
・こうした学問を究めるには、文系か理系か、どちらかに偏らない幅広い考えを持ち、文系と理系の範囲を横断して考えることができる頭の柔らかい学生さんが向いていると思います。https://yumenavi.info/portal.aspx?CLGAKOCD=010820&p=s010820088