歯科に関する診療器具や国内外の歯の清掃用具などの歴史的資料を多数展示している、愛知学院大学楠元キャンパス内にある展示室です。

【愛知学院大学歯学部 歯科資料展示室】歯科に関する歴史を学ぼう

愛知学院大学歯学部 歯科資料展示室は、歯科に関する診療器具や国内外の歯の清掃用具などの歴史的資料を多数展示している愛知学院大学楠元キャンパス内にある展示室です。

今回の記事では、事務員の石川さんにお話を伺いながら、愛知学院大学歯学部 歯科資料展示室の見どころを紹介していきます。

学生はもちろん、一般の方も無料で入館できますので、歯科に関する歴史に興味のある方はぜひ一度足を運んでみてください。

1. 愛知学院大学歯学部 歯科資料展示室とは

愛知学院大学歯学部 歯科資料展示室は、1986年に愛知学院大学図書館分館に「資料展示室」として設置された博物館類似施設博物館です。

歯科に関する診療器具や国内外の歯の清掃用具などの歴史的資料が多数展示されています。貴重な江戸時代の入れ歯(木床義歯)やヒトの顎の動きを再現する咬合器の一大コレクションなど、世界的にも貴重な資料があります。

また、ヒトを含む哺乳類を中心に、様々な生き物の頭骨標本を展示しています。歯や顎を比較することで、生物の系統や食性によって歯や顎がどのように違っているのか、さらに、進化の過程で生物がどのように歯や顎を進化させてきたのかを知ることができます。

2. 愛知学院大学歯学部 歯科資料展示室の展示物一例

ここからは愛知学院大学歯学部 歯科資料展示室の展示物一例を紹介していきます。

公式ホームページでは紹介されていない展示物も含めてこの記事ではお見せしますので、詳細が気になったらぜひ実際に足を運んでみてください。

2-1. 1900年代(明治から昭和時代)の歯科診療器機

木製の診療椅子(明治後期)、金属製の診療椅子(昭和中期)、木製の治療用キャビネット、足踏み式のエンジンやレーズ、手廻し式のロール、エックス線撮影装置などを展示しています。

2-2. 歯科用器具(咬合器など)

日本・世界の咬合器コレクション約170点(うち80点を展示)、昭和時代の歯科用の治療器具(抜歯器具など)や切削器具、昭和時代に歯冠修復に用いた器具や材料、お歯黒の人口歯、顎模型などを展示しています。

2-3. 義歯

木床義歯(江戸時代)、ゴム床義歯(明治~昭和初期)、レジン床義歯・金属床義歯・インプラント模型(現在)などを展示しています。

2-4. 口腔清掃用具

時代とともに発達した日本の歯ブラシや歯磨き粉の移り変わりを展示しています。江戸時代に主流となった歯ブラシ「房楊枝」や歯ブラシの木から作られた「歯木」などもあります。また、海外製の歯磨き粉、デンタルフロス、ガムなども見ることがきます。

2-5. 口腔衛生教材・ポスター

昭和初期の口腔衛生教育用ポスター、戦前から戦後にかけての「ムシ歯予防デー(現・歯と口の健康週間)」の統一標語ポスターを展示しています。

2-6. 歯周病に罹患した愛知県産ニホンカモシカの頭骨

Skull of the Japanese serow (Capricornis crispus) with periodontal disease from Aichi Prefecture

国の特別天然記念物に指定されている大型のウシ科動物。愛知県産の個体群においては、10歳以上になると40%以上という高い頻度で歯周疾患が認められます。

筆者はニホンカモシカが歯周疾患にかかることをこの展示物を見てはじめて知りました。人以外の動物も健康な歯を維持することの重要性が感じ取れます。

2-7. ミカドハダカの一種(化石標本)

Lampanyctus sp. (Fossil specimen)

「師崎層群」とよばれる、愛知県の知多半島先端部にある約1,800万年前の地層に由来する化石。1983年に実施された発掘調査の際、南知多町の山海という地区で発掘されたものです。

ミカドハダカは沖合いの中深層に生息し、夜間には浮上して餌をとるハダカイワシ科の魚です。このような化石の展示もありますので、化石に興味がある方が足を運んでも楽しめるはずです。

2-8. カニクイザルの幼獣の全身骨格標本と成獣の頭骨標本

Juvenile skeleton and adult skull of the crab-eating macaque (Macaca fascicularis)

南アジア・東南アジアに生息するサルの一種。日本固有種である「ニホンザル」に近縁で、同じマカク属に分類されています。歯の数はヒトと同じ左右上下合わせて計32本ですが、オスの犬歯はメスより長くて強力で、性差が顕著です。

2-9. タイリクオオカミの頭骨標本

Skull of the grey wolf (Canis lupus)

ユーラシア大陸および北米に生息する大型のイヌ科の捕食者。獲物の肉や骨を強力に嚙み切ることが出来るよう、後頭部には咬筋(こうきん)が付着するための大きな突起(矢状稜)があります。また、犬歯や裂肉歯もよく発達しています。

3. 愛知学院大学歯学部 歯科資料展示室の学生教育活動

小・中・高等学校、児童・生徒等を中心に一般の方々に対して、見学会を行っています。

体験学習コーナーでは、歯科衛生士の資格を有する職員が、口腔内カメラの「ペンスコープ」や「口臭チェッカー」を実演してくれるなど、児童でも楽しめる説明をしてくれます。そのため小中学生でも楽しめるはずです。

教育で活用したい場合は、事前に問い合わせておきましょう。

歯科に関する歴史に興味が湧いたらぜひ行ってみよう

今回の記事を読んで、愛知学院大学歯学部 歯科資料展示室に興味を持った方がいらっしゃいましたら、ぜひ足を運んでみてください。歯科に関する歴史を深く知るきっかけになるはずです。

なお、前予約制になりますので、前もって連絡をしておくようにしましょう。

連絡先電話:052-751-2561(内線1609)
E-mail:dmuseum@dpc.agu.ac.jp
開館日時火曜・金曜の10時~16時
※年末年始は大学の休みに準じます。
住所 / アクセス愛知学院大学 歯学部 歯科資料展示室 AGU Dental Science Museum
〒464-8650 名古屋市千種区楠元町1-100 愛知学院大学楠元キャンパス内 歯学薬学図書館情報センター1階 
地下鉄東山線「本山駅」1番出口、北へ徒歩7分
※事前に電話で予約が必要
公式サイトhttp://www.dent.aichi-gakuin.ac.jp/facility/museum/

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